ポリシー

POLICY

ディプロマ・ポリシー

1. 教育の目的

未来共創リーダー育成プログラムは、「課題解決のための方策の立案・実施・評価の科学的支援」の理念に基づき、高度に幅広い専門性から未来社会を構想し、オールラウンドな協働課題解決と決断、政策の立案・設計にあたることができる研究者および高度専門職業人を養成することを目的とする。とくに、学問と社会の諸課題をつなぎ、現場での課題解決を導く媒介的な役割を果たしうる人材、すなわちミドルパーソンの育成を目指す。

修士課程では、足場となる専門科学の基礎力とともに、複合的な現実課題の解決のために必要な幅広い視野からの知識や技能を習得して、学問と現場の課題解決をつなぐことができる、そしてまた、課題解決の方策を多様な人々と連携協力しながら探求する実践力をもつ、ミドルパーソン人材を養成する。

博士後期課程では、修士課程で培った学問と現場の課題解決をつなぐ能力、および、課題解決の実践力を高度に発展させながら、実践的にも学術的にも世界レベルで影響力をもつ課題解決モデルを生み出せるような、先導的ミドルパーソン人材を育成する。

2. 学修目標
【修士課程】

A. 主体性・協働

A-1: 自主的に、かつ粘り強く自身の研究や課題に取り組む姿勢を身につける。

A-2: グローバルかつローカルな現実的諸問題に目を向ける態度を身につける。

A-3: 他者と協力し、リーダーシップを発揮して、課題解決の協働作業に取り組むことができる。

B. 知識・理解

B-1: 自身の専門分野に関わる現実問題について、知識と理解を有する。

B-2: 自分の探求課題に関わる関連分野について、必要な知識を有する。

C. 技能

C-1: 英語をはじめとした外国語を用いて情報収集ができる。

C-2: フィールド調査、資料調査、実験などを通じて必要なデータ・情報を収集できる。

C-3: 学術的な知識・データ・情報と現実課題との関係を、適切に分析できる。

C-4: さまざまステークホルダーに対して理解可能な文書を作成できる。

D. 実践

D-1: 探求課題に関わるプレゼンテーションを行い、学術のみならずさまざまなステークホルダーの人たちとコミュニケーションができる。

D-2: 社会的に意義ある課題を見いだし、他者と連携してその解決に取り組むことができる。

【博士後期課程】

A. 主体性・協働

A-1: 自主的に、かつ粘り強く自身の研究や課題に取り組む姿勢を身につける。

A-2: グローバルかつローカルな現実的諸問題に目を向ける態度を身につける。

A-3: 他者と協力し、リーダーシップを発揮して、課題解決の協働作業に取り組むことができる。

B. 知識・理解

B-1: 自身の専門分野に関わる現実問題について、幅広い知識と深い理解を有する。

B-2: 自分の探求課題に関わる関連分野について、広く深い知識を有する。

C.技能

C-1: 英語をはじめとした外国語を用いて広く深い情報収集ができる。

C-2: フィールド調査、資料調査、実験などを通じてオリジナルなデータ・情報を収集できる。

C-3: 学術的な知識・データ・情報と現実課題との関係を、適切に深く分析できる。

C-4: さまざまステークホルダーに対して複数の言語で説得的な文書を作成できる。

D.実践

D-1: 探求課題に関わるプレゼンテーションを複数の言語で行い、学術のみならずさまざまなステークホルダーの人たちと主導的にコミュニケーションができる。

D-2: 社会的に意義ある課題を見いだし、他者と幅広く連携しつつリーダーシップを発揮して、その解決に主導的に取り組むことができる。

3. 修了(QE)基準
3-1.審査体制

修士課程および博士後期課程それぞれの修了時に提出する「課題研究レポート」の審査とそれにもとづくQE(Qualifying Examination)は、複数のアジェンダにまたがる3名のチュートリアル教員の合議によって行う。

3-2.評価項目
【QE1(修士課程修了時)】

(1) 探求課題の位置づけと意義
探求課題およびその解決法が、専門および関連分野の知識をふまえて適切かつ明確に示されており、独創的で、社会的な意義を有するものであるか。

(2) 研究方法の妥当性
探求課題の分析および課題解決のために、理論、実験、フィールド調査、資料収集などの研究方法が適切かつ効果的に使われているか。

(3) 論証及び結論の妥当性と意義
問題設定から結論に至る論旨が、論理的に明快であるか。導かれた課題解決の方法は妥当であり、新規性のある実践的価値を有しているか。

(4) 倫理性と形式性
研究方法や資料・データなどの使い方は研究倫理及び社会倫理に照らして問題ないか。文章表現は適切か。文献や図表の引用は適切になされているか。

(5) ミドルパーソン能力
学問と現場の課題解決をつなぐミドルパーソンとして、自立した研究ないし実践活動を行う力があるか。

【QE2(博士後期課程修了時)】

(1) 探求課題の位置づけと意義
探求課題およびその解決法が、専門および関連分野の広く深い知識をふまえて適切かつ明確に示されており、高度に独創的で、社会的な意義を有するものであるか。

(2) 研究方法の妥当性
探求課題の分析および課題解決のために、理論、実験、フィールド調査、資料収集などの研究方法が適切かつ効果的に使われているか。

(3) 論証及び結論の妥当性と意義
問題設定から結論に至る論旨が、論理的に明快であるか。導かれた課題解決の方法は妥当であり、新規的で影響力の高い実践的価値を有しているか。

(4) 倫理性と形式性
研究方法や資料・データなどの使い方は研究倫理及び社会倫理に照らして問題ないか。文章表現は適切か。文献や図表の引用は適切になされているか。

(5) ミドルパーソン能力
学問と現場の課題解決をつなぐミドルパーソンとして、牽引的に研究ないし実践活動を行う力があるか。

カリキュラム・ポリシー(教育プログラムの編成方針)

1.概要

本プログラムは学府横断の副専攻型のプログラムであり、プログラム学生は、自身の専門(所属学府)での研究を足場にしつつ、複数の専門分野にまたがる複合的な現実問題を解決するための実践的な課題探求を行う。そのために、協働課題解決やフィールドワーク、政策の分析・策定に関する一般的な訓練を積むとともに、研究課題に応じて多様な分野の教員から指導を得ることで、課題を効果的に探求できるようにする。

ディプロマ・ポリシーでその解決を謳う複合的な現実問題を捉えるために、本プログラムは「地域共生」、「危機管理」、「文化・健康」という3つのアジェンダをおき、その大枠のもとに中領域的な「課題領域」をおいて、現実問題を領域分けする。その上で、それぞれの「課題領域」に、本プログラムの教育を担う「チュートリアル教員」を配置する。プログラム学生は、アジェンダと課題領域を手がかりとしながら自分の探求課題を位置づけ、研究を進めるうえで必要となる「課題領域」を選択し、その「課題領域」を担当するチュートリアル教員の指導を受ける。このように個々の学生の探求課題に応じて、学生が柔軟に自分用のカリキュラムを組める仕組みを設定する。

それとともに、学生が全員履修する共通の科目を設置し、協働課題解決、フィールドワーク、政策の分析・策定に関する一般的な訓練を行う。これらの科目では、修士と博士が一緒になったグループワークを軸とするTBL型の授業を取り入れ、そこに多様な専門のチュートリアル教員も参加して、学生それぞれの探求課題をめぐる協働課題解決の実践場としている。これにより、課題解決に共通して必要な知識や技法を習得し、ミドルパーソンとしての実践力を養う。

2.コースワーク

修士課程では、1年次に共通の必須科目を5単位配置する。春学期におく「ポリシーアナリシス」(1単位)と、夏学期の「課題研究プロジェクト基礎I」(1単位)は、ともにPBL型授業を取り入れた授業で、前者では受講生それぞれが関心のある政策分野において比較分析を行えるようになることを目指し、後者では、課題解決に共通して必要な知識や技法の習得を行う。また、夏学期には「地球社会フィールド調査法」で多様なフィールドワークの手法と調査研究倫理を習得する。さらに1年次秋学期に「課題研究プロジェクト基礎II」をおき、協働課題解決の知識と技法を発展させ、実際の現場でそれを活かす訓練を積む。それとともに、通年の科目として「プログラム連携ゼミ」(1単位)をおき、学生の所属学府の指導教員とプログラムのチュートリアル教員が共同で学生の研究指導を行う。

「課題研究プロジェクト基礎」は博士後期課程の「課題研究プロジェクト発展」と同じ枠で開講し、異なる課程・学年が混在したグループワークを行う。授業には全学生の研究報告会を組み込み、多くのチュートリアル教員が参加して多角的に議論を行う場を設ける。

選択必修は5単位配置する。学生が自分の探求課題に応じてチュートリアル教員を選択する「課題探求チュートリアル」はI~IVの4種類(各1単位)を履修する。同一の教員から2つはとれないものとし、多様な関連領域の学びを促す。さらに学びの場をシンポジウムやワークショップ、現場研修などに広げる趣旨で「レクチャーシリーズ」(1単位)をおく。

博士後期課程では、本プログラムの修士課程を修めていない場合は「プログラム連携ゼミ」(1単位)の履修を必須とし、スムースな研究の進捗を促す。必修科目は「課題研究プロジェクト発展」のIとII(各1単位)で、前述のように修士と同じ枠で開講する。選択科目は「博士課題探求チュートリアル」をI~IIIの3種類(各1単位)とする。博士学生についてはTA採用を積極的に行い、ミドルパーソンとしての指導力を養う教育機会として活用する。

3.研究指導体制

修士課程の学生が学習と研究をスムースに進めることができるよう、1年次に通年1単位の「プログラム連携ゼミ」を配置する。学生は「研究進捗レポート」を作成し、それをもとに学生の所属学府の指導教員とプログラムのチュートリアル教員が共同で指導を行う。そこでは、学生の学府での研究とプログラムでの研究の調整も行う。博士後期課程の学生も、本プログラムの修士課程を修めていない場合は、1年次に「プログラム連携ゼミ」を履修することを必須とし、学習と研究のスムースなスタートを支援する。

本プログラムは共同の課題探求を趣旨とし、専門を究めるプログラムではないので、固定した指導教員をおかない。ただし、「プログラム連携ゼミ」を担当するチュートリアル教員が2年次以降も緩やかな指導教員として、相談窓口になる。また、プログラム専任教員が全般的な相談教員となる。

4.アセスメント・ポリシー

本プログラムでは、学生の学修目標の達成度を評価するために、QE審査、各履修科目の成績評価や単位の認定に加えて、「研究進捗レポート」の更新を軸とした段階的な指導と学習到達度評価を行う。蓄積されたデータに基づき、未来共創リーダー育成プログラム教務委員会において、プログラム全体としての学修目標の達成度を評価し、必要に応じてカリキュラムの改善方策を提言する。

アドミッション・ポリシー

1.求める学生像
【修士課程】

学府での研究に加えて、さまざまな現実的諸問題の解決に他者と協力して関わる積極的な態度をもち、なおかつその資質を有する学生を評価し、受け入れる。具体的には、次の資質や態度が望まれる。1)専門領域に限定されない現実問題への幅広い関心と知識、2)多様な人たちと協働して問題解決に取り組めるコミュニケーション能力、3)アカデミアと現場の垣根を乗り越えて問題解決に立ち向かう態度。

【博士後期課程】

修士課程入学希望者に求める資質や態度に加えて、次の資質や態度が望まれる。4)専門分野の知識と隣接分野の知識を結びつける認識力、5)主導的に多様な意見を調整する指導力。

2. 選抜方法

修士課程、博士後期課程とも、申請書と小論文、およびそれらに基づく面接によって、上記の資質や態度を有しているかどうかを検討し、合否の判定を行う。判定に際しては、学生の所属学府における研究との両立についても考慮する。